がん等の治療の副作用で、将来的に妊娠率が低くなることを判断された場合に、治療前に卵子を凍結しておくことを「医学的卵子凍結」と言います。
一方、卵子が老化する前に、若いうち(独身のうち)に卵子を予め計画的に凍結保存することを「社会的卵子凍結」と言います。
(なお、医学的卵子凍結については、43歳未満であれば、助成金制度の対象となりますが、社会的卵子凍結は全額自己負担となります)
医学的卵子凍結については、「日本産科婦人科学会の「施設検索」画面で、「ヒト胚および卵子の凍結保存と移植に関する登録施設」を絞り込み検索すると、登録施設の一覧を見ることができます。
<日本産科婦人科学会:地域からの検索画面>
<日本産科婦人科学会:登録各施設の実施業務内容確認画面>
施設によっては、医学的卵子凍結だけを行っていたり、医学的卵子凍結と社会的卵子凍結の両方を行っているところがあります。社会的卵子凍結について、たとえばこちらのサイトでは、独身女性の卵子凍結を行っている施設が検索できるようになっています。
独身で卵子凍結可能 | 婦人科ラボ
上記以外にも、ニーズの高まりを受け、今後、社会的卵子凍結を手掛ける不妊治療施設はさらに多くなることが予想されますので、関心がある方は直接クリニックに問い合わせてみてください。
本来的には、出会いの機会の創出をはじめ雇用形態や賃金、育児休暇、育児手当の見直しなど、国をあげて若い世代が安心して結婚し、子育てと仕事ができる環境を整え、卵子凍結をせずとも希望する人数の子どもを持てることが、理想です。
ただ、国や自治体の少子化対策が、すでに生まれている子への手当の拡充に比重が置かれている現状をみると、「若い世代への支援を待つよりも、まず自分の卵子の時間を止めるほうが現実的」と考える人も多いことでしょう。残念ながら、「卵子凍結はしなくてもいい」と言い切ることができないのが、今の社会状況ではないでしょうか。
もちろん、卵子凍結は、夢の治療ではありません。採卵による心身への負担、採卵~凍結~維持にかかるコスト、そして、いざ妊娠を検討する際、自然妊娠することもあれば、凍結卵子を利用せずその時点でできた受精卵で妊娠することだって大いにあります。つまり、凍結卵子がムダになることもあれば、将来的には、凍結卵子を廃棄するかどうかの決断を迫られることもあるでしょう。こうした側面を踏まえたうえであれば、あとは個人の選択です。もし、検討しているのであれば、メリット、デメリット、両面を丁寧に説明してくれる施設を選ぶとよりよいでしょう。