「どうしたらいいかわからない」と悩まれているあなたは、お子様思いの優しい親御さんなのでしょう。大事なことは、そのままのお気持ち、「わからない」ということ、そして「わからないけれど支えたい」という想いを、さりげなくお伝えになることではないでしょうか。
親子は人間関係の中でもっとも近い関係です。ストレートに思いをぶつけてしまったり、相手の気持ちを考えることなく自分の気持ち優先になってしまったり。「言える間柄」だからこそですね。また、家族メンバーにはそれぞれ役割があり、そのパワーバランスで均衡を保っているところもありますから、その役割から抜けられないということもあるでしょう。
お子さんから「不妊治療をしている」とお聞きになったら、まずは「よく話してくれた」という言葉をかけてあげてください。不妊治療をしなければならないことを受け止め、生まれて初めての治療に挑戦し、多くの不安をかかえているのは本人です。親御さんに伝えることにも悩みます。「なんて言われるだろう」「わかってもらえないんじゃないか」「反対されるに違いない」「孫を楽しみにしているのにがっかりさせてしまう」等々、話すことに躊躇するお子様はとても多いです。
不妊治療の経験がない親御さんが、ご自分がわからないことを根掘り葉掘り、直接お子様に聞かれるといったケースをしばしば耳にします。不妊治療をしている当事者は、人生の危機に直面しているといっても過言ではなく、さまざまな悩みを抱えながらも奮闘しており、心身共に疲労が蓄積しています。あれこれ聞かれたことに、丁寧に誠実に返事をする心の余裕はないと思っていただいた方がよいでしょう。ご自身で不妊治療についての書籍等を探して全体像をつかまれるのもよし、また、「私、わからないから、何か参考になる本でも探してみるわね。疲れているあなたにいろいろ聞くのもよくないでしょうし、あなたを応援するにもまずはわかっていないとね。どんな本がいいかしら」などと、まずは応援する姿勢を見せてあげていただければと思います。
また、ちょっとかじった情報を用いて、「あーした方がいい」「これはやめた方がいい」と忠告したり、指導をするのもよくありません。一番勉強をしているのは本人ですし、悩みながらもその時のベストな選択をしてきているはずです。ですので、お子様の方から、「どうしたらいいだろうか」という相談があったり、意見を求められた時に、ご自身の想いや考えを伝えてあげてはいかがでしょう。
いくら親であっても、当事者心理はなかなか理解しづらいものです。腫れ物に触るような気づかいや遠慮は必要ありませんが、ひとりの人間としてお子様の選択や挑戦を信じ、尊重し、応援するお気持ちを育てていただければと思います。
親子関係もそれぞれですし、個性も異なります。親御さんもおひとりで抱えられなくなることも往々にしてありますので、どうかそんな時は、不妊カウンセラーにご相談ください。当事者のみならず、ご家族の想いもサポートさせていただいています。