私が不妊治療をやめる決断をし、その事態を受け留めはしたものの、喪失感と不透明な将来への不安感に見舞われていた時、NPO法人Fineの不妊ピア・カウンセラー養成講座についての記事が目に留まった。
当時カウンセリングに関心があったわけではなく、 「誰かのために」でもなく、自分自身のために、私はこの講座を受けることにした。時間、お金、仕事、平凡なはずの望み・・・。失うばかりだった不妊から卒業しようとした、私なりの「区切り」の作業。努力したのに何も手にできなかった私は、認定書、卒業証書といった紙切れだけでも、大事に思えた。
自分が努力した「カタチ」が欲しかったのだと思う。
そこで出会ったのが平山史朗先生だった。
当時は現在のようなeラーニングという体制ではなく、受講生が会場に出向き、36単位取得のための講義をみっちり受けていたが、その時心理学、生殖心理をご教示くださったのが、平山先生だった。
先生の講義はいつも楽しく、ついつい引き込まれた。驚くほど当事者の心理に精通されていたからなのか・・・。または、快活なテンポと独特な先生の語り口調によるものだったのか・・・。
私が卒業したのが2008年。先生の魅力的な講義を受けたおかげで、私の学びも続いている。
現在はMoLiveスーパーバイザーとして継続ご指導いただき、このご縁が続いていることに心から感謝する日々だ。
長年に亘って不妊当事者心理の研究をされ、当事者の心の良き理解者であり続けておられる平山先生は、当事者の心理などには目が向けられなかった頃からずっと、その支援の必要性と対策について提唱されてきた第一人者。
平山史朗先生あっての「今」だと思う。
まさに牽引者である先生からのメッセージは、今の私の心にも温かく響き、胸がいっぱいになった。
平山先生、ありがとうございました。