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教育関係者インタビュー

血が繋がっていてもいなくても、育てても育てていなくても。
人生を肯定的に生き、家族の多様性を受け入れる教育がゆき届く社会へ
社会に希望を持って飛び立つため、今、子どもや若者に必要な性教育とはどのようなものなのでしょうか。従来の、いわゆる性の教育という概念に縛られない、生きるためのスキルとしての性教育の在り方について、静岡大学人文社会科学部社会学科教授(家族社会学・医療社会学)で、一般社団法人MoLive(モリーブ)の理事でもある白井千晶先生に語っていただきました。
また、お話では、血の繋がりを求める家族観や、自分自身の幸せの在り方を見つめ直すことの大切さについても触れていただきました。育てやすい、生きやすい社会とは。改めて考えさせられるインタビューです。

白井 千晶 先生

白井 千晶 先生

早稲田大学大学院卒業。静岡大学人文社会科学部社会学科教授。専門は、不妊/生殖技術/養子縁組/里親/児童養護/妊娠・出産/助産史等の研究。現在、全国養子縁組団体協議会代表理事、養子と里親を考える会理事、フォスター代表、REBORNスタッフ、リプロ・リサーチ実行委員会、リプロダクション研究会代表、一般社団法人MoLive(モリーブ)理事。

「職業観」だけではキャリア構築はうまくいかない

不妊治療においては、当事者の多くが「子どもができないことが自分の人生に起こるなんて想像もしていなかった」と嘆かれるという現実があります。本人が望むライフスタイルを実現するため、性教育では「避妊」や「性感染症」以外のことも伝えていく必要があると思いますが、教育現場における性教育は本来どうあるべきとお考えでしょうか。

ポイントは三つあると思っています。一つ目は、性教育は「キャリア教育」であるということ。二つ目は、性教育は身体の健康を保つ「ヘルスケア教育」であるということ。そして三つ目が、最近よく言われていることですが、性教育は「ライフスキル教育」であるということです。

一つ目からお話すると、今、文部科学省は、一人ひとりが社会的・職業的に自立し、自分らしい生き方を実現するための力をつけてもらおうと、小学校から大学にかけ、キャリア教育の推進を呼びかけています。これにより、実際に教育現場では職業探索や職業体験の授業が積極的に取り入れられるようになりました。自分の適性や希望に沿った職業に就くための教育ということですが、ここで留意してもらいたいのが、私たちがライフコースをイメージするとき、どうしても仕事をメインに考えてしまいがちということです。

近代化が進むと、人は人生や仕事を自由に選べるようになり、仕事も頑張ったぶんだけ結果が得られるという、業績主義の社会となります。そうなると、子どもは「将来何になりたいの?」というプレッシャーを小さなころからかけられ続けることになり、「自分らしく生きなくては」、「自分に合う仕事ってなんだろう」と、適正検査を受けながら必死に自分探しをせざるを得なくなる。でも実は職業だけをイメージしていては、うまくいかないんですね。

本来、仕事のキャリアを考えるときは、家族や住まいのキャリアも合わせて考えるべきだと思っています。誰とどこで、どんな暮らしがしたいのか。住むなら田舎がいいのか都会がいいのか。そもそも家族をもちたいのかどうか。当然、その過程で生殖や不妊の知識が不可欠になりますし、自身のセクシュアリティについて考えることも必要です。つまり、こうした性教育も含んだトータルな視点から考えることが、本来のキャリア教育ではないかと思っています。

白井先生が語られるキャリア教育は、長年の専門、リプロダクションの社会学、家族社会学、医療社会学の視点から。 白井先生が語られるキャリア教育は、長年の専門、リプロダクションの社会学、家族社会学、医療社会学の視点から。

性の知識は、ライフスキルである

確かに、現実には、将来的に結婚や出産を望むかどうかや、どこに住みたいかといったライフスタイルが、自身の職業選択に大きく影響を与えますよね。二つ目の「ヘルスケア教育」とは?

性教育において、性感染症などのリスクについて学ぶことももちろん大切ですが、性教育は自分の身体を知る機会にもなり得ると思っています。

人にはいろんな身体があります。障害の有無という話だけでなく、一人ひとり背が高かったり低かったり、ふくよかだったりやせ型だったりしますし、なかには慢性的な疾病を持っていることもあれば、精神的な病を持っている人もいる。思春期であれば、自分の身体の変化について興味を持ったり、他の人と自分の身体を比べて、何が標準なのか分からなくなり悩んだりもするでしょう。そうした、その時その時の自分の身体や健康について学ぶ「ヘルスケア教育」に、性教育も含まれるべきだと思っています。

三つ目は、それらすべてをトータルして、性教育は「ライフスキル教育」だということです。
ライフスキルとは、日常で生じる諸問題に対処していくために必要な能力のことで、最近注目されている概念です。このライフスキルの一つに、不妊をはじめ、性感染症や予定外の妊娠、性暴力、里親や特別養子縁組などの知識を習得する性教育も当然含まれると思います。

そう考えると、小学生から高等教育、大学教育を受けている人全員が、必然的に性教育の対象になりますよね。今は、どちらかというと女性のほうに性教育が偏りがちですが、男性ももちろん一緒に受けるべきですし、たとえ自分が将来、不妊症にならなくても、相手や周りの人が不妊症になる可能性があります。セクシュアリティにしても、自分はシスジェンダー(身体上の性と、自身の性別の認識が一致していること)で異性愛者でも、きょうだいや友達がセクシュアルマイノリティのこともある。もし将来、パートナーや家族がそのことで悩んでいたら、一緒に考えられるための知識を身に付けておきたいですよね。性にまつわる情報をすべて自分事として考えるための、包括的で一貫したカリキュラムがあると理想ですね。

不妊治療時の情報提供では遅い

白井先生は全国養子縁組団体協議会の代表理事を務められています。現在、不妊治療の現場では治療の初期段階で、特別養子縁組という選択肢についても情報提供することが国から推奨されるようになりました。情報提供のタイミングについてはどうお考えですか?

大人になってから、しかも不妊治療を始めようとする人が、治療機関で初めて特別養子縁組について知らされるというのでは、情報提供のタイミングが遅すぎると思います。少なくとも、その時点ですでに知識のベースは出来上がっているべきですよね。

不妊治療は自分の大切な時間とお金を費やすもの。だからこそ、本来であれば、不妊治療も含めて、特別養子縁組についても子どものころから知っているべきで、社会全体がそうであってほしいと思います。

特別養子縁組に関する厚生労働省のちらし 特別養子縁組に関する厚生労働省のちらし

たとえば、私はイギリスやアメリカの教育現場に見学に行っていますが、そこでは4歳や5歳の子どもでも養子について知っています。友達にいますからね。それだけ家族の多様性が当たり前にあるということです。

しかもイギリスでは、養子縁組について教育してくれるNPO団体があり、教育現場に出向いて教師や子どもたちに養子縁組について講義をしてくれるんですね。でもたとえそうした機会がなくても、友達が養子だったり、家庭がステップファミリーだったり、あるいはシングルマザーの元で育っていていることがオープンにされている。多様性が当たり前のなかで育っているので、大人になったときに不妊治療や、養子を迎えるという選択肢も自然と受け入れているんですね。日本も本当は多様な家族があるのですが、標準的でないと「隠さないといけない」と思ってしまいがちですよね。

実際、不妊治療をされている先生方に伺うと、これから不妊治療を始めようとする患者さんに、特別養子縁組について伝えるのは心情的にできないという声もありました。幼少期から多様性に触れていれば、患者さんの受け止めも大きく変わるのでしょうね。

そうですね。現実的なことを言えば、たとえば、特別養子縁組についての具体的な相談先や、手続きの詳細については、「初回の治療時に全員に提供することになっていますので」と前置きして全患者さんに渡すようにすれば、医療現場の人も楽になるかと思います。あるいは、リプロダクションセンターのような機関にソーシャルワーカーやカウンセラーが入り、子どものいない人生だと老後はどんな選択肢が考えられるか、養子や里子、第三者の関わる生殖医療で授かった場合は、将来どんな問題が考えられるかといった情報を、全患者さんに伝えるようルーティン化すれば、情報を提供するほうも受け取るほうも楽になるでしょうね。

自分の選択に対し、定期的なレビューを

情報提供を医療現場だけに任せるのではなく、カウンセラーさんにも活躍してもらうというのはよいアイデアですね。

そうですね。カウンセリングといえば、こうした情報提供に限らず、たとえば半年に1回、子どもを持つことについて定期的にレビュー、つまり振り返りを一緒にしてもらえたら、自分のステップを考えやすいと思うんです。

なぜ自分は子どもを授かりたいのか、なぜ不妊治療を辛いと感じるのか。不妊治療をしてきた年月は、自分の人生のなかでどんな意味があったのか。不妊治療を続けている人、養子を迎えようか迷っている人、育児中で二人目をどうしようと考えている人。人それぞれ見える景色は違いますが、できればこうした振り返りをカウンセラーと一緒に定期的にできる仕組みがあると、自分の人生を肯定的に捉えたり、自分が本当は何を求めているのかが整理でき、その後の人生を選択していくうえでとても役立つのではと思っています。

なかには、不妊治療が傷になっていて、振り返ること自体が辛いという方もいるかもしれません。でも、自分の傷がどれぐらいの深さなのか、すでにかさぶたができ始めているのか、完全に癒えるのにあと何年かかるだろうとか、そういったことを捉え直すだけでも、その後の心持ちが変わってくるのではないでしょうか。

自分ひとりではなく、カウンセラーと共に、定期的に自分の気持ちと向き合い整理する時間が大事だと話す白井先生。 自分ひとりではなく、カウンセラーと共に、定期的に自分の気持ちと向き合い整理する時間が大事だと話す白井先生。

多様性を知ることは我が子の幸せに繋がる

先ほど、子どもの授かり方には多様性があることを、幼少期から知っておくべきとお話いただきました。私たちが身近でできる取り組みはありますか?

私は子どもの読み聞かせボランティアをするとき、「告知」の絵本を選ぶことがあるんです。特別養子縁組などで子どもを迎え入れた際、真実を本人に告知するときに活用される絵本ですね。

「あなたにはこんなことがあって、あなたが生まれた夜に電話がかかってきて、お父さんとお母さんはすごくわくわくしながらあなたを迎えに行ったんだよ」。そんな内容の絵本なのですが、その絵本を子ども達のクラスで読み聞かせると、「なになに?」と興味をもって近づいてくれたり、自分の家庭のことを「俺もねー、」と話してくれたりするんですね。

こうした告知の本は、実は当事者の子どもだけでなく、すべての子どもにとって役に立つんです。多様性を知ることって、誰にとっても大切なことですから。自分がこの先、不妊治療をするかもしれない。そして授かるかもしれないけど、他の人は養子を迎えるかもしれない。世の中には、自分が産んだ子もいれば、養子や里子で迎え入れられた子もいる。自分の子どもが社会で受け入れられて幸せに育つためにも、世の中にはいろんな家庭があることを知っておくことが必要なんです。

ですから、大人になってからでも躊躇せず、家族の多様性について情報発信すべきだと思います。その積み重ねで、ある人にとっては養親として育てることのハードルも下がるだろうし、ある人にとっては告知へのプレッシャーも減ることでしょう。自分で産んだ子であっても、個性や多様性が認められる中で育つというのはとてもいいことだと思いませんか。

血の繋がりに何を求めているのか、再考を

白井先生はご自身の研究を通し、これまでさまざま形で家族になった方々と出会われてきたことと思います。血の繋がりと家族の幸せについて、今どのようなお考えをお持ちですか?

すごく難しいテーマですね。でもやはり、自分は血の繋がりに何を求めているのか、血の繋がりに何を期待しているのかについては、誰しもが今一度考えたいテーマですよね。

たとえば、自分自身は血の繋がった子どもを授かるかもしれないとしても、将来的に母娘関係で悩む可能性だってありますよね。血が繋がっているからこそ期待したり、裏切られたり、葛藤を感じることもあるでしょう。血の繋がりが自分にとってどんな意味をもち、血の繋がりに何を求めるのか。養子を迎える迎えないにかかわらず、一度考えてみることは、きっとこれからの人生に役に立つと思うのです。

なぜなら、社会のあり様は本当に流動的で、自然界をみても、災害のリスクは年々高まっています。東日本大震災が起きたときもまさにそうでしたが、ある日大きな災害が起き、不慮の事故にあったきょうだいの子どもを育てる可能性は、誰にだってある。誰もがこの先、予測不可能な事態に遭遇する可能性があるわけで、自分が産んだ子ではない子を育てる未来だってあり得るのです。そういう意味でも、「血の繋がりって、なんだろう」ということを今一度、考えてみたいですよね。

「みんな同じがいいこと」から抜け出そう

一方で、不妊治療の技術が進展すればするほど、より血の繋がった子を求める傾向は強くなることが考えられます。

不妊治療って、「他の人と同じようにがんばらなきゃ」と考える人もいて、自分との戦いになっていることもありますよね。私がお話を伺った方のなかには、「他の方のように頑張っていない、まだ頑張りが足りないので、特別養子縁組を考えるのは申し訳ない気がします」とおっしゃった方もいます。

でも、頑張り尽くしたその先に、血の繋がらない子を育てるという選択をするのではなく、先ほどお伝えしましたように、私たちは誰しもその可能性を有しています。もし人生のなかで、そういう育て方もあるのかなと思うのであれば、それは今でもいいし、まず不妊治療をやらなくてはいけないわけでもない。ステップファミリーの場合だって、血の繋がった子と繋がっていない子、両方を育てることになりますよね。そのなかでときに葛藤もあれば、「なあんだ、血の繋がりなんて」という気持ちを持つこともあるはずなんです。もっと血の繋がりについて柔らかく捉えてもいいのかなと思います。

血の繋がりが、かえって子どもにとってプレッシャーになることもありますね。

そうですね。養子の立場の方が書かれたもので、『養子縁組を考えたら読む本――これから親になるあなたに知って欲しい20のこと』(明石書店)という本があるのですが、そこには「養親へ」に向けたメッセージが書かれているんです。その中の一つに、「見た目もすることも、あなたにそっくりだとどうか言わないでください。私たちの違いを認めて、あなたに祝ってほしいのです」と書いてあって。私はこの言葉に本当にはっとさせられたんです。

よく私たちは、「ママに目が似ているね」とか「笑い方が似ているね」と言う言葉を、誉め言葉だと思って使っていますよね。でも良かれと思い「似ているね」と伝えることは、実は「みんな同じがいいことだ」というメッセージを伝え続けることでもあるんですよね。

だから私たちは生きづらいんです。だって血が繋がっていても、繋がっていなくても、本当は、人間は一人ひとり違うものだから。私はこの言葉に出会って以来、自分の子どもにも、誰に対しても、そういう姿勢で付き合うようにしています。職場でもそうですよね。たとえば何か不満があるときに、「この課の人ってみんなゆるいよね」と言うよりは、はっきり「この書類はちゃんと作ってほしい」とその人に言えばすむこと。決めつけるのではなく、一人ひとりの「個」にしっかり向き合う姿勢を持ちたいと思っています

多くの特別養子縁組や里親家庭を支えていらした白井先生の言葉に、本当の意味の多様性の在り方を考えさせられる。 多くの特別養子縁組や里親家庭を支えていらした白井先生の言葉に、本当の意味の多様性の在り方を考えさせられる。

理想的な親像を求めることへの違和感

社会の啓発によっては、将来的に特別養子縁組を検討する若い人たちも増えてくるかもしれません。養親になるうえでの適格性というのは、あるのでしょうか?

養親であっても実親であっても、親は常に相談先と、ブラッシュアップする機会が必要だと思っています。

日本の特別養子縁組って、ある一定のレベルに辿り着いた方や「養子縁組は子どもの福祉です」と理解している人と、理解が足りない人とで線引きして、「ここまで理解が到達したら、養親や里親になれます」という傾向にあるかもしれません。

でも、親子って、ともに生活し、育っていくなかで、子どもも親も変化していくものですよね。だからこそ常に対話を重ねていくことが大切で、それは自分で産もうが、産むまいが変わらないこと。だから親全般が相談できる場所って必要なんです。日本は親だったら子どもに愛情があるのが当たり前、子ども中心に考えるのが当たり前と思われ、虐待があったら虐待したことをすごく責められる社会ですよね。本来であれば、いつでも話せる相手や相談先、親としての新たな学びの機会があることが、誰にとっても必要なんですけどね。

困ったときこそ繋がるチャンス

身近に話せる相手がいるのは心強いですよね。そういう存在は見つけるためのアドバイスはありますか?

周囲に助けを得るためのポイントは、「困ったときがチャンス」なんです。子どもが熱を出した、子供が授からない、不妊治療はどうしよう、養子縁組はどうしよう、子どもを叩いちゃいそう、預け先がない…。こういう困ったときって、実は繋がるチャンスでもあるんです。

そんなときこそ、人に助けを求めて、弱さを手掛かりに、繋がりをつくっていく。仕事でもそうですよね。困っているから、人に助けてもらって、人と繋がっていく。困ったことがないと、自分だけで頑張れてしまうから自分の思うストーリーで歩んでいけるんだけど、周囲との繋がりが希薄になったりもするんです。だから、当事者研究の理念にもなっている「弱さの情報公開」は本当に大切。弱さは、繋がりなんですよ。

白井先生ご自身も、3人のお子さんを抱えられながらお仕事されて大変だったと思います。周りに頼られましたか?

もちろん、頼りまくりでしたよ。私の場合、いい意味で、自分で育てるということを早々に降りていたんです。自分が100%の愛情をかけて育てるのではなく、子どもを100%愛してくれる場所、子どもが輝ける場所、子どもが安心して過ごせる場所を探すこと、そんな環境に行けるように応援することが私の役目だと思っていました。

こんな場所で夕方まで過ごせたらいいな、病気のときはこんなところにいられたらいいなとか。自分が仕事を休んで全力で子どもに尽くすのではなく、子どもが安心して過ごせる場所や人を探して、お願いするようにしていました。

どんな環境だと、自分が一番居心地いい?

それこそ、「困ったときは、繋がるチャンス」ですね。一方で、子育てに対しては、公園で遊ぶ子どもの声がうるさいなど、辛辣な意見もあります。

たとえ社会が子育てに冷たいように思えても、肝心の自分が温かい人をみつければそれでいいと思います。子育てしていてもしていなくても、たとえば職場のなかで認められていなかったり、仕事がすごく大変だったり、人間関係がぎすぎすしたりと、みんな何かしら大変な想いをして暮らしていますよね。

そんなとき辛辣なことを言ってくる人もいると思います。そんな人を見過ごしたくなければ一言そこで言えばいいし、関わりたくなければ関わらなくていい。だけど、なかには温かい目で見てくれている人もいますから、そっちの方を向いて、心も体も健康にいられるようにすることが一番大事かなと思います。

最初にお話しした「ライフスキル」とも結びつくのですが、自分ができるだけ幸せでいられる環境に身をおくことって大切ですよね。自分に日が当たっているか、渇いていないか、栄養がちゃんと行き届いているか。自分を動物や植物にたとえてみて、自分がどんな環境にいると居心地いいと感じるか。なかには日があたりすぎると辛いという人もいると思います。自分がそこでちゃんと育っているかなとときどき考えて、必要であれば、ときどき水や日差しをあててあげる。

そうそう、私はよく、辛いときなど、自分の感情をおにぎりのようにぎゅっぎゅっと心のなかで握って、どんな形や色をしているか、眺めてみることがあるんです。あ、いまこんな形なんだ、とか、ここは尖ってますねーとか(笑)。そうやって客観的にみてみると、自分の感情や状況が捉えやすくなり、今何が自分に必要かわかるんです。そうやって自分を大切にして、自分が幸せな状態をつくっていくこと。子育てしていようがしていまいが、自分を大切にすることが、ひいては社会の優しさに繋がるのだと思います。

白井先生の声、話し方、表現の仕方すべてがソフト。話していると、なんとも心が開放される。 白井先生の声、話し方、表現の仕方すべてがソフト。話していると、なんとも心が開放される。
取材 内田朋子
永森咲希(一般社団法人MoLive(モリーブ)代表)
文 内田朋子
写真 永森咲希
取材日 2022年11月18日

取材後記

内田朋子 政府は少子化対策に本腰を入れるようですが、少子化対策案が打ちあがる度、社会では、産んだ側と産まない側、若者と高齢者の分断を思わせる意見も聞こえてきます。ですが、産む選択肢、産まなくても育てる選択肢、産まずに生きる選択肢。多様な選択から自分が納得した決断をし、人生を肯定的に生きられたら、分断は生まれ辛いのではないか。
白井先生のお話を通し、性教育を含むライフスキルを幼少期から身に付けることの大切さを改めて感じました。そして、困ったときに助けてと言える、「弱さの情報公開」。これも、きっと大事なライフスキルの一つ。白井先生のお話に、うなずきマシーンと化した自分ですが、次は、どう行動に落とし込むか…。
白井先生から直接お話をお伺いでき、とても幸せな時間でした。ありがとうございました。

永森咲希 今回のインタビューで白井先生から紡ぎ出された言葉は、ビジネスキャリアだけではない、人生の包括的なキャリア形成教育の必要性や、産む命も育てる命も自分の命も、生きることを共に大事にするという視点に溢れています。生殖補助医療や特別養子縁組が進められる環境下、日本社会が忘れてはならない大事な要素を明確に打ち出してくださったように思います。
多様性と謳われながらも言葉だけが独り歩きし、子どもを持つ・持たない・持てない、そして育てるというテーマの本質的な環境整備がなされないままであることを私自身痛感してきました。そんな中、長年特別養子縁組や里親をサポートしながら、産まれた命・預かる命を大事にしてこられた白井先生にお話を伺い、靄がかかった視界が晴れるようでした。
まさに、わたしたちのこれからの道標。
白井先生、貴重なお話をありがとうございました。

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